思いやりと受け入れる気持ちをユーモラスに描いた絵本「クマですが、イヌです」




絵本の情報

クマですが、イヌです

【作】ダイアン・フォックス&クリスチャン・フォックス

【訳】青山 南

【出版社】光村教育図書

「クマですが、イヌです」のあらすじ

ルーシーはイヌがだいすきでした。

 

イヌの本はぜんぶよみました。

雑誌にイヌの写真があると、かならずきりとっていました。

イヌにまつわるものをかうために、せっせと貯金もしていました。

 

そしてある日、ついにじぶんだけのイヌがほしくなって、さがしにでかけたのです。

 

「こんにちは、わたし、ルーシーっていうんだけど、イヌをさがしてんの。

うちにはすてきなバスケットもあるし、ぜったいきもちいいとおもう。

だいじにお世話もするし、散歩にもまいにち連れていくよ。」

 

探している途中、かえるや、きつねに会いますが、やっぱり、ルーシーはイヌがいい。

そこに、変に礼儀正しい、イヌ(クマ)があらわれます。

 

イヌ(クマ)は、丁寧にあいさつします。

 

「もしもし、失礼いたします。わたくし、イヌでございますが、

家がなくてこまっておりまして、すてきなバスケットがあって、たべものも

いっぱいあって、あそべる庭があって、世話してくれるひとがいて、

散歩にもまいにち連れてってもらえる、そんなところをさがしております。」

 

ルーシー:「えー、ぴったしじゃん!でも、あんた、ほんとにイヌ?わたしの本にはのってないけど。」

 

イヌ(クマ):「その本はふるいんです。さいきんは、あたらしいイヌがどんどんはつめいされているんですよ。わたくしのなまえは クマ です。」

 

ちょっと変だったけれど、ルーシーは、少しだけ、妥協しました。

「イヌにしては、変な名前だけど、もう遅くなってきたし、あんたでいいかな。」

 

クマはごきげんでした。

バスケットはちょっと、ちいさかったけれど・・・・

 

ルーシーは、クマをとても大事にしました。

 

ところが、ある日、クマはねむってしまったのです。

とても、ぐっすりと。

11月、12月、1月、2月、3月と。

 

ねむるのは、いいのです。

でも、その間、ルーシーのベッドは占領されました。

 

それに、イヌをかうのは、おもってたより、けっこうたいへんなのでした。

 

散らかすし!

あっちこちひっくりかえすし!

どっさりたべるし!

 

そして、ペットのイヌでいるのも、たいへんでした・・・・。

 

あんたがなげた棒をひろいにいくのは、もう、うんざりだよ。

あんたがなげたボールをひろってもどってくると、またなげるは、やめてくれないかな。

 

ある日、クマはすっかりふきげんになって、でていってしまいました。

 

でも、ルーシーのことが忘れられませんでした。

そこに、紙が1まい、風にふかれてとんできました・・・・。

 

「このイヌ、さがしています

おれいをさしあげます

ルーシーに電話ください。」




感想

イヌが大好きで、ありとあらゆる情報を収集したルーシー。

ついに、実際に「自分のイヌ」を欲しくなります。

 

そこに、イヌと名乗るクマが現れます。

お互い、条件はぴったり。

 

でもなぜ、どの本にも載っていなかったのに、ルーシーはクマ(イヌ)を信じてしまったのでしょう・・・

クマに騙されるルーシーの詰めの甘さに、クスッと笑ってしまいます。

 

そして、言葉巧みで、ずる賢いけど、憎めないクマ。

冬眠はするし、だんだん、イヌのふりをすることに、不満を抱くし。

でも、その図々しさが、また笑いを誘います。

 

自分を偽ったクマと、おかしいと思いながらも信じ、少し妥協して一緒になってしまったルーシーとの関係や、

そして、やっぱり、うまくいかずに破局してしまう展開。

人間界では、よくある!と思いながら、読み進めてしまいました。

 

でも、最後は心がほっとする、ハッピーエンドです。

 

そんな深読みはせず、5歳の娘は隣で純粋に物語を楽しみ、笑っていました。

続けて2度、読みました。

 

相手を思いやり、受け入れる気持ちの大切さをユーモラスに描いた絵本です。

絵も可愛いです。







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絵本の読み聞かせをしてあげられる時期は、案外短い。最初からうまくいっていたわけではないけれど、毎日の読み聞かせは、間違いなく私達親子に、沢山のことをもたらしてくれています。そんな私達親子の「読み聞かせ」これまでと、これから。