絵本の情報
はっぴいさん
【著】荒井 良二
【出版社】偕成社
あらすじ
「はやい あさです。
ぼくは はっぴいさんに あいにいきます。」
「はやい あさです。
わたしは はっぴいさんに あいにいきます。」
はっぴいさんは、困ったことや、願い事をきいてくれるのです。
山の上の、大きな石の上に、はっぴいさんは、時々、来るのだそうです。
なんでも”のろのろ”の「ぼく」。
なんでも”あわてる”「わたし」。
ふたりは「のろのろじゃなくなるように」「あわてなくなるように」
それぞれの願いを叶えるため、山の上の大きな石をめざします。
やがて、ふたりは「大きな石」に辿り着きました。
けれど、まってもまっても、はっぴいさんは、来ませんでした。
「きみの願い事って、なあに?」
「ぼく」と「わたし」は、お互いの願い事を、打ち明けました。
はっぴいさんは、来ませんでした。
けれど、はっぴいさんに、会えた気がしました。
豊かな色彩と手書きの文字が暖かい印象を残し、欠点は見方を変えれば長所になるということを教えてくれる本書は、子どもだけでなく大人の心もほんわりとさせてくれる絵本である。(小山由絵)
感想
欠点と感じる部分も、受け止めて、認めてくれる人がいる。
それだけで、特に子供は安心できるのではないでしょうか。
欠点を否定する、または正そう、修正しよう、とするのではなく、まずは、受け入れてあげる。
幼児期、一番身近な親だからこそ、気付いて、してあげられることは多いと思います。
できれば、この先、この絵本に描かれているように、そんな「お友達」にも出会っていってほしいと願います。
また、本書には、お話とは関係がなさそうな「戦車」や「廃墟」が描かれています。
それは、子供が自発的に「これは何?」と親に聞き、親が、直接自分の子供に戦争の怖さを教えてあげてほしい、という作者の意図があるそうです。
4歳の娘も「こんなところに戦車があるね」と、やはり気になったようでした。
「はっぴい」は、どこかに落ちているものではなく、誰かが与えてくれるものでもなく、心の持ちようで「自分の中」に保持できるものなのではないか・・・そんなことを、日々、娘にも身を以て示していきたいと思いました。
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