絵本の情報
うさぎの島
【著】イエルク・シュタイナー
【絵】イエルク・ミュラー
【訳】おおしま かおり
【出版社】ほるぷ出版
「うさぎの島」のあらすじ
「小さい茶色うさぎ」と「大きくて年取った灰色うさぎ」の物語です。
「大きな灰色うさぎ」が住んでいたのは、「うさぎ工場」。
うさぎ工場では、狭い檻に閉じ込められた、幾百匹ものうさぎが、ただただ、えさを食べ続けています。
太ったうさぎは、食肉にされる・・・だけど、うさぎたちはそれを知りません。
今が、夏なのか、冬なのか、昼間なのか、夜なのかさえ。
ある日「灰色うさぎ」の檻の中に、「小さい茶色うさぎ」が入れられました。
茶色うさぎは、外界から、連れてこられたばかりでした。
怖くて震える茶色うさぎを見て、灰色うさぎは得意げに言いました。
「ここは暮らしいいところだ。心配いらないよ。小さいうさぎが運び込まれて、太ったうさぎが連れて行かれる。これは、いつものことなのさ。」
それでも、茶色うさぎは、外の世界に帰りたくて仕方がありませんでした。
灰色うさぎを誘って、2わのうさぎは、外に逃げ出します。
小川の流れ、ほし草の臭い、タンポポの葉っぱの味・・・
それら全てに、灰色うさぎは馴染むことができませんでした。
何不自由ない、工場での暮らしを懐かしみ、ついに、灰色うさぎは工場へと戻るのでした・・・
感想
「ぼくはくまのままでいたかったのに」のコンビ、イエルク・ミュラーと、イエルク・シュタイナーの作品です。
自然や動物を愛し、自然破壊に対して警鐘をならしつづけるこの2人の作品は、迫力のある絵と、読み手に訴えかける文章で、大人でも見応えのある絵本になっています。
「ぼくはくまのままでいたかったのに」の内容ともつながるのですが、「本当の幸せと自由」とは何なのか?分からなくなってしまう人間の姿を、動物に置き換えて訴えかけられているようにも感じます。
同じ環境に置かれたとき、気付くか、気付かないか。
何を選択するのか。
全ては、自由なのだけれど「本当の幸せ」につながる選択を、自分たちは、できているのだろうか。
これまでにしてきた、無数の選択は「今このときの幸せ」につながっているのだろうか。
絵本を通じて、たまにはこんなことを真剣に考えてみるのも、悪くないなと、思います。
4歳の娘も、真剣に聞き入っていました。
※現在新書は販売されていないようです。中古か図書館でお探しください⇒中古の絵本を購入する際のコツ
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