絵本の情報
ジェーンとキツネとわたし
【文】ファニー・ブリッド
【絵】イザベル・アルスノー
【翻訳】河野 万里子
【出版社】西村書店
【ページ数】95
「ジェーンとキツネとわたし」のあらすじ
きょうは どこにも 居場所がない。
“あの子”たちがそこらじゅうにいるから。
わたしの悪口をらくがきする
あの子たちが・・・。
5年生のエレーヌは、学校でいじめられている。
“居場所がない”
そんなふうに感じるときは、いつも本を開いて、大好きな「ジェーン・エア」の世界に閉じこもる。
トイレに、落書き。
「エレーヌは体重100キロ!」
「・・・それに臭い!」
バスの中でも、ひそひそ笑いしてくるのが聞こえてくる。
エレーヌの悪口・・・
なにも聞きたくないのに。
またひとつ、胸のなかに、穴があく。
それでエレーヌは、「ジェーン・エア」の世界にもどる。
お母さんは、いつも忙しそう。
夕方仕事から帰ってきて、
まず夕食を作って
洗濯をして
弟たちの宿題を見てやって
あしたの仕事の準備をして
洗濯ものを干して
家族みんなの分の明日のお弁当を作って
いつまでも騒いでいる私達を寝かせて
レコードプレーヤーの針をかえて
洗濯ものをたたんで
電気調理台のヒューズもかえてーーー
そしてお母さんは、みんな寝静まっているのに、思わず誰かに聞いてほしくて声に出して言ってしまう。
「ああ、もう疲れて死にそう。」
あるとき、学校のみんなと合宿にいくことになった。
いろんな子のグループが、できている。
エレーヌは、友達のいない子のグループになった。
合宿先でも、また、いじめられた。
しかし、そこで起こった出来事をきっかけに、エレーヌに変化が起こり始めた・・・
感想
カナダ総督文学賞受賞の作品です。
本作は、グラフィック・ノベルという枠にはいる、絵本+小説+マンがのような本です。
5歳の娘への読み聞かせには、向いていないように感じましたが、一応、娘は隣でじっと聞いていました。
娘の口から、
「けんかした」
という言葉はよく聞きますが、
「いじめられた」「いじめた」
ということばは、まだ聞いたことがありません。
一方で、私は、読みながら、思春期って、こんな感じだったなと、エレーヌの揺れ動く気持ちにいちいち反応してしまいました。
いずれにしても、主人公エレーヌの気持ちは、きっと、
「いじめられた」
「無視された」
「悪口を言われた」
「仲間外れにされた」
経験がないと、うまく理解することはできないのではないかと思います。
娘が思春期をむかえたら、もう一度、「読んでみて!」とすすめてあげたい本です。
「いじめはこわくない!」と、励まされ、勇気づけられる本です。
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