絵本の情報
時計つくりのジョニー
【作】エドワード・アーディゾーニ
【訳】あべ きみこ
【出版社】こぐま社
「時計つくりのジョニー」のあらすじ
あるところに、ジョニーという名前の小さな男の子がおりました。
ジョニーは手先がたいへん器用で、ものをつくるのが上手でした。
ひまさえあれば、金づちで釘を打ったり、のこぎりで木を切ったりしていました。
ところが、お父さんもお母さんも、ジョニーのことを器用だとは思っていませんでした。
「あの子ときたら!また ばかなことをやっている」
ジョニーがトントンやり始めると、決まってそう言うのでした。
ジョニーには、お気に入りの本が3冊ありました。
どれも、おじさんやおばさんからいただいた、モノづくりの本でした。
その中でも1番のお気に入りは「大時計のつくりかた」という本でした。
ある日、もう100回目でしょうか。
1番のお気に入りの本を広げながら、突然思い立ちました。
「ぼくも、大時計をつくろう!」
ジョニーは、お母さん、お父さんにその案をすぐに言いに行きました。
「なにを くだらないことを」
「つまらないことを言うんじゃありません」
ジョニーは、2人にそう言われて、がっかりしました。
しかし、もっと悪いことがジョニーを待っていました。
学校の先生に、言ったのです。
先生の返事はこうでした。
「おばかさんね。あなたはまだ小さいんだから、そんなむずかしいことはできませんよ。」
そして、そのせいで、みんなにジョニーはからかわれました。
しかし、一人だけ味方になってくれた子がいました。
スザンナです。
「大時計、ぜったいにできるわよ。」
ジョニーはこれを聞くと、うれしい気持ちになって、絶対作ってみせるぞと決心するのでした。
ジョニーは、時間をかけて「大時計」を作り上げました。
その間、お母さんにもお父さんにも、
「またばかなことをやって」
と言われ続けました。
出来上がったときでさえ。
ただひとり、スザンナだけは大時計作りを応援し、協力して、いつも褒めてくれました。
あるきっかけがあり、ジョニーの大時計のことを、お父さんとお母さんは見直そうという気持ちになりました。
ジョニーの大時計は玄関先に置かれ、お客さんを招いてお披露目会もしました。
間もなく、ジョニーが本物の大時計を作ったことが学校のみんなに知れ渡りました。
先生は、ジョニーに一目おくようになりました。
何かを作るときには、大きい子供たちも、ジョニーの意見を聞きにくるようになりました。
スザンナは鼻高々でした。
みんなは、ジョニーのことを
「時計つくりのジョニー」
とよぶようになりました。
お父さんは、ジョニーに素晴らしい道具を沢山プレゼントしました。
それでジョニーは、もうどんな時計でも作れるようになりました。
ジョニーは、国中で、一番の時計つくりになりました・・・
感想
ただ単に、時計をつくるのが得意な少年のお話ではありませんでした。
「それは、まだできないよ」
「子供には、無理だよ」
ついつい、大人が子供に対して言いがちな言葉ではないでしょうか。
ジョニーは、大人たちのそんな言葉にも負けず、自分の好きなことに、ひたむきに打ち込みました。
「大時計を作ってみよう!」
と思い立ってから、時間はかかりましたが、途中であきらめず大時計を完成させたジョニーの意思の強さに感心してしまいました。
そしてジョニーを否定していた、大人や学校の生徒たちも理解を示すようになっていく過程が気持ち良かったです。
些細なことも含め、子供の「やってみたい!」を応援してあげたくなる絵本の内容です。
隣で静かに聞き入っていた5歳の娘。
「夢を叶える!」というジョニーの意思の強さに、何かを感じ取ってくれたと思います。
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