絵本の情報
ちびくろ・さんぼ
【文】ヘレン・バンナーマン
【絵】フランク・ドビアス
【翻訳】光吉 夏弥
【出版社】瑞雲舎
【ページ数】30
「ちびくろ・さんぼ」のあらすじ
あるところに「ちびくろ・さんぼ」という、可愛い、黒い男の子がいました。
お母さんの名は「まんぼ」、
お父さんの名は「じゃんぼ」といいました。
お母さんが用意してくれた「赤い綺麗な上着」と、「青い綺麗なずぼん」を着て、
お父さんが買ってきてくれた「緑色の傘」と、「紫色の靴」を履いて、
ちびくろ・さんぼは、ジャングルへ散歩にでかけました。
すると、とらが出てきて言いました。
「ちびくろ・さんぼ!おまえをたべちゃうぞ!」
ちびくろ・さんぼは、赤い上着をとらに差し出しすと、とらは食べないでおいてくれました。
また少しいくと、別のとらが出てきて言いました。
「ちびくろ・さんぼ!おまえを食べちゃうぞ!」
ちびくろ・さんぼは、きれいな青いずぼんを差し出しました。
すると、とらは食べないでおいてくれました。
結局、そのあとも別のとらに、きれいなくつを。
また別のとらに、きれいな緑色の傘を差しだし、
ついにみんな、とらに取られてしまった、ちびくろ・さんぼは、泣きながら歩いていました。
すると、ちびくろ・さんぼの物を持ったとらたちが、けんかを始めました。
「誰が一番立派なとらか」競ったのです。
とらたちは、木の周りをぐるぐると回り、けんかを続けました。
すると、ぐるぐる回っているうちに、とうとう、みんなどろどろに溶けてしまいました。
あとには、とら色のバターが残り、ちびくろ・さんぼの一家は、ホットケーキにして、おいしくいただきました・・・
本書は、1953年に岩波書店から発売され、1988年に絶版になるまで、日本中のこどもたちに親しまれていた絵本です。 その後も復刊を望む声は多くありましたが、なかなか実現はされませんでした。 小社でも検討に検討を重ねた結果、その内容や文章表現に何らの差別は無いと判断し、復刊することにしました。 (とらとバターの話のみ収録されています)
感想
小さい頃読んだ記憶があります。
とても懐かしくて、今回は5歳の娘と読みました。
トラがぐるぐると木の周りをまわると、溶けてバターになってしまう。
そして、お母さんがそのバターでホットケーキを焼いてくれる。
このシーンが、特に記憶に残っていて、読むたびにホットケーキが食べたくなりました。
娘も「ホットケーキ食べたい!」「バターで焼いたやつ!」
と言っていました。
大人になり改めて読んでみると、「何でバターになるのだろう?」という疑問を感じてしまいましたが、今の娘と同じで、私も子供の頃は、そんなのはどうでもよく、純粋に物語を楽しんでいました。
特にバターとホットケーキのシーンに心惹かれるのも、一緒です。
「おいしそうだな~」
「いいにおいがしてきた!」
など、想像力も働かせて、楽しんでいました。
この絵本をきっかけに、お子様と一緒にホットケーキを作れば、より一層、絵本への思い入れが増すのではないかと思います。
絵本らしい絵本です。
自分が読んでもらったときに感じた記憶もよみがえり、心があたたかくなりました。
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