絵本の情報
みえるとかみえないとか
【作】ヨシタケ シンスケ
【相談】伊藤 亜沙
【出版社】アリス館
【ページ数】32
「みえるとかみえないとか」のあらすじ
ぼくは うちゅうひこうし。
いろんなほしの ちょうさをするのが、ぼくの しごとだ。
このほしの ひとたちは、うしろにも 目があるので まえも うしろも いちどに みえるらしい。
(人間は、前しか見えない)
「みえかた」が ちがうだけなのに みんな すごく きをつかってくれて、ヘンなきもちだった。
いろいろ しらべていると、うまれつき「うしろの目だけ みえない」って ひとがいた。
ぼくと おなじだから、すごく はなしが もりあがった。
じぶんと おなじだとおもうと、やっぱり なんていうか あんしんする。
みえるひとには こんなふうに みえている せかいも・・・・・・
みえないひとには こう「みえて」いるみたい。
もし、みえないひとばっかりの ほしが あるとしたら・・・・・・
「みえないから できないこと」は たくさんあるけど、「みえないからこそ できること」も たくさんある。
みえるひとと みえないひとでは、せかいの かんじかたが ぜんぜんちがう。
でも、そもそも ぼくたちは みんな ちょっとずつちがう。
みんな それぞれ そのひとにしか わからない、そのひとだけの みえかたや かんじかたを もっている。
もし ぼくが「めずらしいひと」だったとしたら、どんどん はなしかけて もらったほうが、うれしいんじゃないかなあ っておもう。
うーん。うちゅうも ちきゅも いっしょだなー。
おなじところを さがしながら ちがうところを おたがいに おもしろがれば いいんだね。
それって すごく むずかしいような きも するけれど、じつは かんたんなことなのかも しれないねえ。
うーん。
でも、まあ、ちょっとずつ れんしゅうだな。
読者へのメッセージ
ふつうに笑いながら読んでもらえたら、一番うれしいです。もし「なにか真面目に考えなきゃいけない」と思ったとしたら、それは僕のミスです(笑)。
ヨシタケ シンスケ 「みえるとかみえないとか ができるまで」より
感想
ぼくは、前にも後ろにも目がある宇宙人に出会います。
前しか見えないなんて、かわいそうだねと、思われます。
でも、ぼくにとったら、それが「普通」。
特に不便は、感じていません。
やがて、ぼくは気づきます。
見えるとか、見えないとか以前に、そもそも人って、少しずつ何かが違う。
他の誰かと「一緒」だと、安心するけれど、違う人を、おもしろい!と思ったって、いいんじゃないかな?
本書は、見えるとか見えないとかの視覚障害は関係なく、互いの差異を、面白がる心を持つことへのバリアを解いてくれます。
娘もそうですが、子供って、悪気はなく、色々なことを口にしてしまうことが、あります。
「みんな違って、みんないい」とは言うけれど、そんなとき、とっさに出てくるのは、「そんなにジロジロ見たらダメだよ」とか、「そんなこと言っちゃダメだよ」というような言葉ではないでしょうか。
違う身体を持つもの同士が、もっと対等に、会話し、互いの違いを、面白がり、話せるようになればいいとは、思います。
それがなかなか難しいのです・・・
でも、ひと昔前に比べたら、多様性のある社会、全てのマイノリティーの人たちにとって生きやすい世界に、だんだんとなってきているような気がします。
・・・と、真面目に考えてしまったら、作者のミスになってしまいますが。
子供が純粋に感じたことを、そのとき私が一緒にいる機会があったら、お互いの差異について、お話しできるように、まずは自分が変わってみたいなと、思いました。
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