絵本の情報
たかこ
【文】清水 真裕
【絵】青山 友美
【出版社】童心社
【ページ数】32
「たかこ」のあらすじ
たかこが ぼくの がっこうに やってきた。
「てんこうせいの たかこさんです。
みんな なかよく しましょう。」
「せんせい。でも、たかこさんの かおが みえません。」
たかこは おうぎで、じぶんの かおを かくしていた。
転校生の「たかこ」は、恥ずかしがり屋さんです。
「たかこ」は、「僕」の隣の席に座ります。
「よろしく」
と、僕が言うと、たかこは、
「こころやすく ならむ」
と言いました。
ぼくは、質問します。
「どうして へんな ことばなの?」
「いと はづかし」
たかこは、また扇で自分の顔を隠してしまいました。
たかこは、普通の子と、少し違っていました。
授業中は、墨をすって、筆を使う。
音楽の時間、リコーダーのかわりに、琵琶を奏でる。
しかも、たかこは、勉強がよくできました。
テスト返しのとき
「また100点?」
と聞かれると、
「さなり」
と答えました。
たかこの口真似がクラスではやりました。
「あしたは はれむ」
「おなか すいたなり」
「きのうの よる テレビを みたり」
たかこの長い着物を踏んづける遊びが、はやりました。
「らうぜきなり。やすからず。やめたまへ。」
たかこは、カンカンに怒って、扇でみんなを追いかけました。
学級遠足の日がやってきました。
野原に遠足に行きました。
ところが、お昼すぎになって、急に天気があやしくなり、おおつぶのひょうが降りました。
「わが うはぎを つかひたまへ」
次々に、みんなが色とりどりの着物の下に避難しました。
「いろいろ、といふ、かさねなり」
たかこの着物は、学校に帰ってから、みんなで広げて干しました。
さくらもえぎ
はなだ
うすいろ
もえぎ
こうばい
うらやまぶき
すおう
くれなゐ
たかこのキモノは「平安色」。
日本の伝統色にも触れることができます。
感想
5歳の娘は、表紙を見ただけで、大笑い。
物語にも、興味深々でした。
私達の間で、しばらく「いと おかし」などの古語がはやりました。
現代の小学校に転校してきたのは、平安時代の女の子。
あり得ない設定です。
しかし、子供たちは、ちょっと変わった女の子として、たかこを受け入れます。
たかこの風変わりな言葉遣い、服装、行動が、「個性」だと受け入れられるところは
子供の柔軟性でしょうか。
でも、しばらくすると、やっぱり「たかこ」はクラスメイトにからかわれ始めます。
そして、最後は・・・
第2回絵本テキスト大賞 優秀作。
とても面白い絵本でした。
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