絵本の情報
アザラシとくらした少年
【作】レイフ・マーティン
【絵】デイヴィット・シャノン
【訳】常盤 新平
【出版社】岩崎書店
【ページ数】28
あらすじ
アザラシと暮らすようになった、一人の少年の物語です。
インディアンの一族は、土地を転々と移動しながら生活しています。
春、「大きな川」のほとりで、一族はキャンプをしていました。
その途中で、ある家族の息子(少年)が、行方不明になりました。
一族みんなで懸命に探しましたが、少年は見つかりませんでした。
きっと獣にさらわれたのだろうと、みなは悲しみに沈みました。
一族は、それでもキャンプをしながら旅をつづけました。
ある年の春、キャンプをしていると、他の部族に出会いました。
そして、その部族のおばあさんから、不思議な話を聞きます。
ある小さな島に、アザラシが住み、なんと、アザラシと一緒に一人男の子が生活しているというのです。
一族は「少年」を見つけました。
そして、キャンプに連れて帰りました。
しばらく、アザラシのような行動、食事をしていた少年でしたが、次第に、人間らしさを取り戻していきました。
少年は「カヌー」や「かい」を作る能力に長けていました。
とても美しいものを生み出しました。
時々、アザラシの生活を思い出し、海に消えることもありました。
大きな川や海を渡るとき、アザラシたちが、少年を呼びました。
少年もまた、それに応え、水に飛び込みました。
その度に、両親は、必死に止めようとしました。
しかしある日、少年は、とうとうアザラシ達の元へ、帰ってしまいました・・・
あくる年から、一族が春を過ごすキャンプへと戻る度、そこには少年の作ったカヌーが置いてあるのです。
それは、年ごとに、年々美しい出来栄えになっていくのでした・・・
感想
この物語は、チヌーク族というインディアンに伝わる、古いお話だそうです。
海を忘れられない少年と、それを引き留めたい両親の思いが交錯し、胸が熱くなります。
神秘的な物語の内容に、臨場感ある挿絵が加わり、その世界に引き込まれていきます。
4歳の娘は、少し怖がっていましたが、私は出会えてよかった、と心から思えた一冊です。
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