人はどこから来てどこへ行くのだろう?命を描いた絵本「葉っぱのフレディ」




絵本の情報

葉っぱのフレディ

ーいのちの旅ー

【作】レオ・バスカーリア

【訳】みらい なな

【出版社】童話屋

「葉っぱのフレディ」のあらすじ

春が過ぎて

夏が来ました。

 

フレディは 数えきれないほどの葉っぱに とりまかれていました。

 

はじめフレディは 葉っぱはどれも自分と同じ形をしていると思っていましたが やがてひとつとして 同じ葉っぱはないことに 気がつきました。

 

フレディの親友は ダニエルです。

だれよりも大きくて 昔からいるような顔をしています。

考えることが好きで 物知りでした。

 

ダニエルは フレディに色々なことを教えてくれました。

フレディは「葉っぱに生まれて よかったな」と思うようになりました。

 

夏になると フレディは ますますうれしくなりました。

公園に 木かげを 求めて 大ぜいの人がやってきました。

フレディたちは 葉っぱをそよがせて 涼しい風を送ってあげました。

 

けれど 楽しい夏はかけ足で通り過ぎていきました。

たちまち秋になり 十月の終わりのある晩 とつぜん 寒さがおそって来ました。

 

「霜がきたのだ。」とダニエルが言いました。

もうすぐ冬になる知らせだそうです。

 

緑の葉っぱたちは 一気に紅葉しました。

いっしょに生まれた 同じ木の 同じ枝の どれも同じ葉っぱなのに どうしてちがう色になるのか フレディにはふしぎでした。

 

風が変わりました。

葉っぱはこらえきれずに吹き飛ばされ まき上げられ つぎつぎと落ちていきました。

 

ダニエルは言いました。

「みんな 引っこしをする時がきたんだよ。とうとう冬が来たんだ。ぼくたちはひとり残らず ここからいなくなるんだ。」

 

「ぼくはいやだ!ぼくはここにいるよ!」

とフレディは おお声で叫びました。

 

残っているのは フレディとダニエルだけになりました。

 

「引っこしをするとか ここからいなくなるとか きみは言ってたけれどそれはー」

とフレディは胸がいっぱいになりました。

 

「死ぬ ということでしょ?」

ダニエルは口をかたくむすんでいます。

 

「ぼく 死ぬのがこわいよ。」

とフレディが言いました。

 

「そのとおりだね。」

とダニエルが答えました。

 

「でも 考えてごらん。世界は変化しつづけているんだ。変化しないものは ひとつもないんだよ。変化するって自然なことなんだ。死ぬというのも 変わることの一つなのだよ。」

 

死ぬのが自然なことだと知って、フレディはすこし安心しました。

 

「ねえ ダニエル。ぼくは生まれてきてよかったのだろうか。」

とフレディはたずねました。

 

ダニエルは深くうなずきました。

 

その日の夕暮れ 金色の光の中を ダニエルは枝をはなれていきました。

 

「さようなら フレディ。」

 

フレディは ひとりになりました。

 

次の朝は雪でした。

冷たい雪が重く感じられます。

 

明け方フレディは迎えに来た風にのって枝をはなれました。

 

そのときはじめてフレディは 木の全体の姿を見ました。

 

”いのち”は土や根や木の中の 目には見えないところで 新しい葉っぱを生み出そうと 準備をしています。

大自然の設計図は 寸分の狂いもなく”いのち”を変化させつづけているのです。

 

また 春がめぐってきました。

この絵本を 死別の悲しみに直面した子どもたちと 死について的確な説明ができない大人たち 死と無縁のように青春を謳歌している若者たちへ贈ります。

作者まえがきより




感想

アメリカの著名な哲学者、レオ・バスカーリア博士が描いた、生涯でただ一冊の絵本です。

 

小学校一年生の娘と読みました。

 

最初は、ただ葉っぱたちのお話のように思っていた物語が、読み進めていくうちに、命あるものの一生について語られているのだと気づきます。

 

特に、死とは何か?について気づきをもたらしてくれる良書だと思います。

 

フレディが枝を離れたときに、はじめて木の全体を知ったように、人も、そのときに始めて全体の一部であったと気づくのかもしれません。

 

「死」とは、悲しいものでも、怖がるものでもなく、永遠の命へとつながる自然なことである。

そして、それを理解したうえで、今世をどう生きるか。

何度も読み返したくなる味わい深さがあります。

 

自分の人生を考えるきっかけになってくれる絵本です。

いつか購入し、手元に置いておこうと思っています。

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