絵本の情報
3びきのかわいいオオカミ
【著者】ユージーン・トリビザス
【絵】ヘレン・オクセンバリー
【翻訳】こだま ともこ
【ページ数】36
「3びきのかわいいオオカミ」のあらすじ
あるところに、3びきのかわいいオオカミが、お母さんと一緒に暮らしていました。
一番上のお兄さんは、真っ黒。
二番目は、灰色。
末の弟は、真っ白でした。
ある日、お母さんは、3匹を呼んで言いました。
「そろそろ、広い世界に出ておいき。うちを出て、自分たちのお家を作りなさいな。でも、おおブタには気を付けるのよ。」
3匹のオオカミは、広い世界に出ていきました。
まず、最初にれんがの うちを建てました。
しかし、すぐ次の日、悪いおおブタが来て、れんがの うちをハンマーで壊してしまいました。
3匹のオオカミは、怖くて震えあがってしまいました。
「もっと丈夫な うちを建てなくちゃ。」
次に建てたのは、コンクリートの うちでした。
ところが、うちが出来上がるやいなや、悪いおおブタが来て、でんきドリルでめちゃくちゃに壊してしまいました。
3匹のオオカミは、怖くて怖くて、ぶるぶる震えてしまいました。
「もっともっと、丈夫な うちを建てなくちゃね。」
次は、鉄条網や、鉄骨や、鉄板や、重い鉄の南京錠を使って、丈夫なうちを建てました。
あくる日、いつものように悪いおおブタがやってきて、どこからかもってきたダイナマイトで、うちをふっ飛ばしてしまいました。
「きっと、僕たち、今まで間違った材料で うちを作ってたんだ。」
3匹のオオカミは、一体何を使ったらいいのか、考えました。
そして最後は、花の うちを建てました。
今にも壊れてしまいそうで、そよかぜが吹いただけで ゆらゆら揺れますが、とってもきれいな うちでした。
あくる日、悪いおおブタは、やっぱりやってきました。
いつものように、オオカミたちの うちを壊す気でしたが、なんだか様子が変わってきました。
とっても悪いおおブタ、最後は、どうなってしまうのでしょう・・・
感想
いつもは悪者のオオカミ。
でも、この絵本の中では、とっても可愛くて、真面目で、のほほんとしています。
おもしろいのが、ブタの極端な悪役ぶりです。
ブタの表情に、読み聞かせながら、笑いをこらえることができませんでした。
本当に悪いおおブタでしたが、天使のような3匹のオオカミのお陰で、最後にはほっとできる内容の絵本に仕上がっています。
5歳の娘は、ゲラゲラと笑っていました。
もちろん「三びきのこぶた」のお話を知っていて、一応パロディーと分かって笑っていたようです。
小学生でも十分楽しめるお話の内容ですので、また少し成長したら、一緒に読んでみたいと思っています。
興味深いのは、著者が、犯罪学者だというところです。
執拗に、かわいいオオカミたちの家を破壊する、悪いブタ。
手口が凶悪で、絵本なのに、なぜ?と少し怖さも感じました。
物語を読み返してみると気づくのが、この絵本のブタは、オオカミを食べるために家を壊したのではなく、実は、心の底から、家に入れてほしかっただけなのです。
面白いだけでなく、奥の深い絵本です。
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