絵本の情報
すてきな三にんぐみ
【作・絵】トミー=アンゲラー
【翻訳】いまえ よしとも
【出版社】偕成社
【ページ数】38
「すてきな三にんぐみ」のあらすじ
黒マントに、黒い帽子の三人組。
それは それは こわーい、泥棒さまが、お出かけします。
脅しの道具は三つ。
一つ、ラッパ銃。
二つ、こしょう・ふきつけ。
三つめは、真っ赤なおおまさかり。
この三人組に出会ったら、気を失い、肝をつぶし、犬なんか、いちもくさん。
奪った宝は、全部、山のてっぺんの洞穴に運び込みます。
ため込んだ 金銀 宝石 指輪にお金に首飾り・・・
ある夜のこと。
三人組は、いつものように、泥棒に出かけます。
ところが、悪さをしようと止めた馬車の中には、みなしごのティファニーちゃんがたった、ひとり。
でも、ティファニーちゃんは なんだかおもしろそうな おじさん達に、喜んでいます。
獲物は何にもなかったので、三人組は、かわりにティファニーちゃんを大事に抱えて隠れ家に帰りました・・・
あくる朝。
ティファニーちゃんは、目を覚ますなり、宝の山に気が付きました。
「まああ、これ、どうするの?」
三人組は、顔を見合わせて考えました。
これまで、どうするつもりも、なかったのです。
そこで、三人組は、集めました。
さびしく、かなしく、くらい気持ちで暮らしている、
捨て子や、みなしごを、どっさりと。
そして、三人組は、みんなで一緒に暮らせる素敵なお城を買いました。
お城のうわさは、すぐに国中に広まり、お城の子供はどんどん増えました。
そして、子供たちはすくすく育ち、大人になり、三人組に、恩返しをするのです。
それは、素敵な三人組を、決して忘れないため・・・
感想
著者が、娘のフィービーちゃんに捧げた絵本です。
薄暗い、そしてなんだか怖い、と感じる表紙から、娘に読み聞かせようとした瞬間、「これって、怖い本でしょ」と言ってあまり気が進まないようでした。
物語の始めは、やはり、怖い!という印象が強いのですが、ティファニーちゃんがあらわれる場面から、だんだんと話の展開がいい方向に進み始めます。
5歳の娘は、怖いもの見たさなのか、最初から引き込まれていました。
「泥棒が得意」という、特別な能力。
しかし、この三人組には、泥棒をする「目的」が見いだせていませんでした。
ティファニーちゃんとの出会いをきっかけに、「悪」に使われていたその能力は、「善」に使われるようになっていきます。
ページをめくるたび、ワクワクドキドキ。
とても素敵な物語の展開です。
最後の場面に至っては、三人組がこの世にいなくなってからの景色が描かれています。
大人になって読んでも、いい絵本だなと、思います。
著者が、我が子のために捧げた絵本と知り、なるほど、と腑に落ちました。
たくさんの学びがある絵本です。
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