絵本の情報
それならいいいえありますよ
【作・絵】澤野 秋文
【出版社】講談社
【ページ数】36
「それならいいいえありますよ」のあらすじ
このお話の主人公、ぎんた は怠け者。
年中、家は散らかし放題。
ある朝、ぎんたの家に、ちゃまる と呼ばれる野良猫がやってきた。
ぎんたは、ちゃまるの行くところを追いかけてみることにした。
ちゃまるは、猫地蔵の前でふっととまった。
すると、突然立ち上がり
「今日は たんざくが おおいなあ」
と、しゃべった。
まさか、ちゃまるは、ばけねこ?
ぎんたは、驚いた。
たんざくには、動物たちの住みたい家が書いてあった。
ちゃまるは、ひとつひとつ、その願いを叶えてやるのが仕事だった。
鯉には、綺麗な沼を探してやり、
くまの親子には、新しい洞穴を探してやった。
ぎんたは、猫地蔵に戻ると、どうだとばかりに貼りつけた。
「かたづいて きれいな いえ ぎんた」
こんなことで綺麗な家に住めるなら、掃除も片付けも、面倒だ。
もう、ぎんたは 掃除をしようと思わなくなった。
ところが、ちゃまるはなかなか来なかった。
その間、ぎんたの家は、ますます汚くなっていった。
ぎんたは、ちゃまるを探しに家をでた。
ちゃまるは、町はずれの古い蔵の前にいた。
すると、何やら、おそろしい声が聞こえた。
「おいちゃまる。おれたちにも、いい家教えろや」
声の主は、ねずみの親分だった。
「おかしがたくさんあってよう、汚い家はねえのか?」
「それなら いい いえ ありますよ」
ちゃまるはすました顔で答えた。
「ちらかしほうだい
ぎんたの いえに ごあんない」
あちこちから、ねずみがわっとあらわれた。
しまいには、おばけも加わり、大行列。
ぎんたは急いで家に帰った。
ごみは捨てて、一晩中、とにかく必死に片づけた。
疲れたぎんたは、片付けが終わると、その場にごろりと寝てしまった。
目をさますと、そこには置手紙。
「ここが ぎんたさんに
おすすめの かたづいて
きれいな いえです。
でも ねずみたちが
まって いるので
いつでも
きたなくして くださいね。ちゃまる」
たしかに そこは、ぎんたの欲しかった いえだった。
感想
第34回講談社絵本新人賞佳作受賞作品。
こちらは、著者のデビュー作です。
第二作目もとてもおすすめです。
ご興味がありましたら、お読みください☟
「片付けしなさい!」
と口うるさく言わなくても、この絵本を読めば、効果を発揮してくれると思います。
タイトルから想像していた内容をいい意味で裏切られる、奇想天外な物語でした。
絵も、細かなところまで描き込まれており、見応えがあります。
ひと昔前の日本の風景にも、心が和みました。
猫が敏腕不動産屋という設定に意外性があったのか、
「あ、猫がしゃべった・・・」と
5歳の娘も最初からずっと物語に引き込まれていました。
図書館で借りたのですが、一度読んだだけでは返却してしまうのが勿体ないと思うほど、
様々な要素が入った読み応えのある絵本でした。
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