絵本の情報
きょうはなんのひ?
【作】瀬田 貞二
【絵】林 明子
【出版社】福音館書店
【ページ数】32
「きょうはなんのひ?」のあらすじ
「お母さん、今日は、何の日だか、知ってるの?
しーらないの、しらないの、しらなきゃかいだん三だんめ。」
朝、まみこは、玄関を出るとき、お母さんに歌いながら言った。
お母さんは、すぐ階段の三段目から、赤い紐を結んだ手紙を見つけた。
そこには、
「ケーキのはこを ごらんなさい」
と、まみこの字で、書いてあった。
居間のケーキの箱には、また赤い紐の手紙が挟んであった。
「つぎは げんかんかさたての なか」
そんな具合に、手紙に書かれてある指示通りに、お母さんは次の手紙を探していった。
最後の手紙には、
「でんわで おとうさんのポケットのなか きいてください
おねがい」
と、書かれてあった。
お母さんは、お父さんに電話して、上着のポケットの中を見てもらうよう、頼んだ。
「とうとう ゆうびんばこに プレゼントがとどきました
おせわさま」
そう、書いてあった。
夕方、お父さんがバスケットをさげて、帰ってきた。
まみこには、バスケットの中身はまだ内緒だった。
居間でくつろいだお父さんに、お母さんは昼間郵便箱から見つけ出した小さな小包を、渡した。
箱を開けると、中から、また、ひとまわり小さい小箱が出て、
そのふたをとると、また小箱・・・
こうして、順々に小さな箱があらわれて、十番目の箱には、ビー玉が、2つ入っていた。
「むらさきずいしょう、おとうさん。
あかいルビーが、おかあさん。」
まみこは、また、歌いだした。
「しーらないの、しらないの?きょうはなんのひ しらないの?
きのついた字を、かさねてごらん。」
お母さんが持っている9枚の手紙と、お父さんの上着のポケットに入っていた1枚の手紙。
木の絵がついた字のところを、順番に読んでみた。
「けつこんきねんびおめでとう」
お父さんが持ち帰った、バスケットの中身は、まみこへの、小犬だった。
今日は、十回目の、結婚記念日。
お父さんとお母さんは、本当に知らなかったのでしょうか・・・
感想
私も、昔この遊びをよくやったことを思い出し、嬉しくなりました。
この絵本を読んだ次の朝、5歳の娘が
「今日は何の日か、知ってる?」
と、聞いてきました。
2階の寝室から、リビングに降りると、早速何やら書き始めました。
そして、「おめでとう」と言いながら、この手紙をくれました。

「けっこんきけんび(危険日) おめでとう」
娘は真剣でしたが、思わず笑ってしまいました。
絵本の感想に戻りますが、内容を読み終えた後、表紙の絵を見ると、
あぁ、ここから始まっていたのだなと、あらためて感じられる仕掛けになっています。
絵や、言葉遣いに少し昔の絵本だな、という印象は残りますが、
子供は、そんなことは全く気にならない様子でした。
とにかく気に入ったようで、読んでから数日は、この絵本の話を一日に何回もしていました。
家族のあたたかさを感じられる、いい作品です。
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